CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 63rd 「カンヴァスの柩」

恋の始まりは寂しいと思うことに似ている。それを彼女は知っていた。彼女は、相手の心の中の自分の不在をこれからしばらくは我慢しなくてはならないであろうと思った。
「カンヴァスの柩」『カンヴァスの柩』より

「カンヴァスの柩」も「熱帯安楽椅子」と同様、バリ島を舞台にした作品である。
だが、「熱帯安楽椅子」よりも、ちょっと寓話ちっくな筆致で描かれているところにこの作品の面白さがある。
熱帯の島で暮らす画家と知り合った自由奔放な日本人女性との可愛らしい愛の物語で、この作品も詠美らしい独特のタッチで描かれていて、何度読んでも楽しいし、バリ島好きのぼくにはたまらない。
【DATA】
山田詠美「カンヴァスの柩」
新潮文庫『カンヴァスの柩』
KEN'S NIGHT M5レフィル<方眼円盤集>    
KEN'S NIGHT 2nd Track10 Moonlight in Vermont