CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 62nd 「指の戯れ」

彼は口数が少なく、言葉に詰まると素直な目で私を見詰めた。砂糖菓子を見るような目つきはとても正直で、じらす事で遊んでいる私たちのしきたりよりはるかに心に染み透った。
「指の戯れ」『指の戯れ』より

「指の戯れ」は、山田詠美の初期の作品の特徴でもある、黒人の男性との性愛を描いた作品である。しかし、そこに描かれているのは人間の生々しいまでの肉欲や愛憎だ。もしこれが相手が日本人だったら、ここまでストレートに愛情を描くことができないだろう。
最近富に思うのだが日本人という国民性は非常に厄介で、愛情表現が本当に下手な民族だなとつくづく思う。
だから、ぼくなんかは詠美の作品に出てくる男女のような出会いややり取りに憧れてしまうのかもしれない。
とはいうものの、日本でしか育ってないので、どうしても思考的には日本人寄りにはなってしまうのであるが。
【DATA】
山田詠美「指の戯れ」
新潮文庫『ベッドタイムアイズ・指の戯れ・ジェシーの背骨』
KEN'S NIGHT M5レフィル<彩酒摩天楼>    
KEN'S NIGHT 2nd Track 3 The Girl from Ipanema ※ラメ入り