CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 11th 「バック ステージ」

 さまざまな恋の痛みで破損した心は、時がやさしく蘇生させてくれる。そして、新しくふさがった傷口が多ければ多い程、人は他人に思いやりを持てるもの。なかには、それを上手く活用出来なくて捨てばちな関係ばかりを追い求める愚かな女もいる。けれど、私は、そんな人たちとは関りを持たない。


山田詠美「バック ステージ」より

結婚小説として知られている山田詠美の『チューイングガム』は、ファンの間では恋愛のバイブルと呼ばれている作品でもある。
COCOとRUFASという二人の男女の目線で交互に描かれており、その構成も面白いし、人と人が出会って、どういう風に愛情を育んでいくのかがわかるところもこの作品の醍醐味である。
この「バック ステージ」でもそんな山田詠美の恋愛観がはっきりとわかるシーンがたくさんあり、今回は2回に分けて、そのシーンをご紹介したいと思う。
真剣に恋をすると傷つくから、あまり恋に真剣にはならないようにしているという人がいて、その気持ちはわからないでもないけど、ぼく個人としては傷つくのを恐れていたら、いつまでたっても、それなりの恋愛しか経験できないんじゃないかって思っている。
誰だって傷つきたくなんかないよ。でもね、それでも落ちちゃうのが恋なんだと思う。
ぼくは詠美のこの文章から、そんなことを感じた。

 

【DATA】
山田詠美「バック ステージ」
幻冬舎文庫『チューイングガム』
KEN'S NIGHT M5レフィル<彩酒摩天楼>
KEN'S NIGHT 1st Track 09 Moonlight Serenade