CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 22nd「ラビット病」

「ローバちゃん」
「ゆーりちゃん」
「私たちはうさぎ——」
 二人の主題歌が誕生したとばかりに、ロバートは有頂天になった。


「ラビット病」より

山田詠美の結婚小説として有名なのは『チューイングガム』だが、『ラビット病』も結婚小説として知られている。
アメリカ軍人であるロバートとゆりの二人の関係が、リズミカルに、そしてコミカルに描かれている。
『チューイングガム』は比較的シリアスに物語が進むのだが、この『ラビット病』は真逆で、「このふたり、大丈夫か?」と読者をも呆れさせるほどの能天気さ。
でも、そこに詠美なりのピリッとした辛口な表現なども見え隠れして、これもまた痛快なのである。
ハッピーな気分に浸りたい時に読みたい小説だ。

【DATA】
山田詠美「ラビット病」
集英社文庫『ラビット病』
M5レフィル<和風三色幕>
2nd Track 8 When I Fall in Love