CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 8th 「風葬の教室」

 私は人間には大人と子供という分け方があるのだといつも思います。それは、もちろん実際に年齢をとっているかどうかということとは関係がありません。あの人は子ども、あの人は大人。私は自分にとって少し簡単すぎると思われる授業の時は、いつも人々を大人と子供に分けて遊んでいました。


山田詠美風葬の教室」より

子どもの頃、ぼくはいっぱしのいじめられっ子だった。転校生だったということもあるし、やはり「おかま」っぽいということで虐められることは多々あった。今から思えば、良く自殺をすることなく生き続けて来たなと思えるほどいじめられていた。
そんな子どものいじめを真正面から描いたのが「風葬の教室」だ。もし自分が中学や高校の先生だったら、自腹でこの本を生徒全員にプレゼントしたいと思うほどこの作品に描かれたいじめに対する詠美さんの答えの出し方が素晴らしいのである。
「いじめをなくそう」というスローガンをたびたび見かけるし、その言葉そのものに反論する気もないが、大人の世界ですらいじめはあるわけだから、そんなきれいごとを子どもに言えるのだろうか?といつも思ってしまう。
しかし、「風葬の教室」ではそのいじめの本質に迫り、そしてそのいじめとどう対峙するべきか、ということが描かれている。
いじめで悩んでいる当事者だけでなく、お子さんを持つ親御さん、教育関係者などに読んで欲しい作品。

【DATA】
山田詠美風葬の教室」
新潮文庫『蝶々の纏足・風葬の教室』
KEN'S NIGHT M5レフィル<山荘冬休暇>
KEN'S NIGHT 1st Track 07 Stardust