CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 2nd 「LOVE 4 SALE」

今日は誕生日なので東京タワーに上りました。誕生日を迎える人は、入場料がただになるのです。特別扱いされている感じが嬉しくて、あたしは、上京して以来、必ず足を運んでいます。


山田詠美「LOVE 4 SALE」より

今は残念ながらそういったサービスは行われていないが、数年前までは東京タワーでは誕生日当日は入場料がただになるというサービスを行っていた。
どのタイミングでそれを知ったのか忘れてしまったが、ぼくは数年間、誕生日に東京タワーに行くのが習慣になっていた。
誰かと一緒に行ったとしても、無料で上れるのは誕生日を迎える当人のみで、同伴者には何もサービスがないし、ぼくの誕生日は1月2日(実は今日なんです!笑笑)はお正月真っただ中で付き合ってくれる人もいないため、毎年一人で誕生日に東京タワーに上っていた。
その話を詠美さんにしたところ、それをモチーフにこの小説が生まれたのだとか。その話をご本人から聞いた時、(雑誌に掲載時に教えてもらったのでした)すごく嬉しかった。
その後、このサービスが「当日無料」から「前後2日半額」というサービスに変更されてからも、誕生日にこの本を持って、東京タワーに行くのが楽しみだった。
ところが、数年前にこのサービスがなくなったのを知り、ぼくは勝手に詠美さんのこの作品で東京タワーは誕生日に無料で上れるというのが広く知られてしまい、採算が取れなくなったからサービスが縮小され、さらには廃止となったのではないかと勝手に思っている。
また再開してくれないかなぁ。
スカイツリーよりも、はるかに東京タワーの方が好きなので、ぜひ復活して欲しい。

【DATA】
山田詠美「LOVE 4 SALE」
文春文庫『タイニーストーリーズ』
<用紙&インク>
KEN'S NIGHT M5レフィル 赤色日本景
KEN'S NIGHT 1st Track02 Autumn in New York