CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 272nd 熱帯安楽椅子

私は急速に喉の乾きを覚える。激しくなりつつある雨がポーチに降りかかる。けれど、私の乾きは雨では癒せない。
山田詠美「熱帯安楽椅子」
『熱帯安楽椅子』より

ここでいう「喉の乾き」というのは、具体的にはどういうことを言うのであろうか。
それは心の乾きでもあるし、身体の乾きでもあるだろう。
身体の乾きだけだったら、雨に濡れることによって、ある程度は癒されるかもしれない。だが、心の乾きとなると、やはりそれだけでは無理だ。
ワヤンに抱かれることによってしか、どちらもちゃんとは癒されないのである。
性愛というのは、お互いの乾きを癒すために必要なことだと詠美はこの文章を通して教えてくれているような気がする。
【DATA】
山田詠美「熱帯安楽椅子」
集英社文庫『熱帯安楽椅子』
KEN'S NIGHT M5レフィル<流星摩天楼>
KEN'S NIGHT 2nd Bonus Track Don't Rain on My Parade