CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 251st Crystal Silence

そういう付属品が、もしなかったとしても、素敵な人間って、いったい私のまわりにどれだけいるだろうか。空や海や砂の中に裸で立っただけで、他の人を幸福にさせるような人なんて、どのくらいいるだろうか。音楽をバックグラウンドにしてロマンスを生むことの出来る男の子は沢山いるけど、波や風の音だけを背にして、女の子の心を疼かせることの出来る男の子なんて、私は知らない。
山田詠美「Crystal Silence」
『放課後の音符』より

昨日の続き。
周りの様々な状況に流されることなく、自分なりの視点を持つというのは、特に若いうちは大変なことなのかもしれない。どうしても周りのことが気になってしまうし、親しい友人たちの言葉に左右されることも多いだろう。
でも、少しでも自分だけにしかわからない視点を持ちたいという心を持っていれば、だんだんと、それがどういうことなのか、ということがわかってきて、自然と自分なりの視点というものを持てるようになると思う。
それは、理屈や言葉ではなく、体験を通して理解していくことだとは思うけど。
でも、そういうことをきちんと指南してくれるこの作品は本当に若い子たちのバイブルだとぼくは思うのだ。
【DATA】
山田詠美「Crystal Silence」
新潮文庫『放課後の音符』
KEN'S NIGHT M5レフィル<海辺夏休暇>
KEN'S NIGHT 2nd Track 4 I Left My Heart in San Francisco