CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 226th 陽ざしの刺青

それはね、きみ、愛、あるいは憎しみが、心の中に腫瘍を作ってしまったのだよ。きみは、今、幸せだと、幸せの意味も知らないのに、そう感じているかもしれないが、きみは、なんと言っても女の体を見てしまったのだ。父親の体に押しつぶされている女の体を見詰めながら、太陽の光を体に吸い込んでいたのだ。誰かがそう言ってあげなくてはいけない。
山田詠美「陽ざしの刺青」
『色彩の息子』より

昨日に続くこのシーンは「陽ざしの刺青」の冒頭シーンなのだが、ヒリヒリとするような描写が心に残るし、ぼくは夏の日差しを浴びるとしばしばこのシーンを思い浮かべる。
どこか、映画的なシーンでもあり、いつか誰かがこの作品をモチーフに映画を作って欲しいなと思っているのだが。フランス映画とかにありそうなテーマなのではないかと思っている。
【DATA】
山田詠美「陽ざしの刺青」
集英社文庫『色彩の息子』
KEN'S NIGHT M5レフィル<海辺夏休暇>
KEN'S NIGHT 1st Track 04 Night and Day  @shinchobunko