CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 190th 熱帯安楽椅子

 海辺に置かれたテーブルに肘を着いたまま、私はそのウェイターを見詰める。白い朝のテーブルクロスが朝の陽ざしを反射させ、私には眩し過ぎて彼の顔が良く見えない。
山田詠美「熱帯安楽椅子」
『熱帯安楽椅子』より

昨日の続きのシーン。
このシーンは「熱帯安楽椅子」の中でも、すごく重要なシーンだし、非常に印象的だと思う。
このあと、主人公の「私」はこのウェイターと親しい関係になるのだが、出会いはこんなところから始まっており、その様子が南の島のホテルの朝の情景なんもんだから、余計に読み手はそこに魅かれるのではないだろうか。
「熱帯安楽椅子」の世界を象徴する場面だと思う。
【DATA】
山田詠美「熱帯安楽椅子」
集英社文庫『熱帯安楽椅子』
KEN'S NIGHT M5レフィル<海辺夏休暇>
KEN'S NIGHT 2nd Bonus Track I Feel Pretty