CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 213rd Crystal Silence

 マリは一向に意に介さない様子で、運ばれてきたジントニックにライムを絞り込んで飲んだ。そして、私の方を見て笑いかけた。彼女は、私は自分に好意を持っていることを充分に知っているみたいだ。私は、少しどぎまぎする。だって、あんな言葉を聞いたせいか、彼女の口許が、とても涼しそうに見えるのだもの。それも、熱いものが急に冷やされて水滴を浮かべるようなそんな涼しさが唇の上に浮かんだのだもの。
山田詠美「Crystal Silence」
『放課後の音符(キーノート)』より
マリの描写がとても詠美さんらしいと思えるシーン。こういう書き方ができるのは、詠美さんの観察眼と、そして感性によるものなのかなぁ。
そういえば、一時期、詠美さんの作品にしばしば登場するジントニックに憧れて飲もうとしてあちこちで頼んだりしたけど、やっぱり途中で頭痛くなっちゃって、やっぱり自分はアルコールだめなんだよねぇ。って悲しくなる。飲めるようになりたいなぁ。ジントニック
【DATA】
山田詠美「Crystal Silence」
新潮文庫『放課後の音符(キーノート)』
KEN'S NIGHT M5レフィル<海辺夏休暇>
KEN'S NIGHT 3rd Track01 Blue Skies