CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 202nd 夕餉

 紘の腕の中の空気は馥郁としている。まるで餡パンの中の隙間みたいだ。天然酵母の香りに酔っぱらいながら、私は焼き上がる。美々ちゃんの体、熱くなって来た、と彼が言う。
山田詠美「夕餉」
『風味絶佳』より

『風味絶佳』に収録されている「夕餉」は、空気感が瑞々しくて大好きな作品。なんかこう、読んでいると行間から透明な水がしたたり落ちて来るような感じがするのである。
そして、タイトルどおり、様々な料理が出て来るからお腹が空いてしかたない。
そして、そういう中にも、上記のようなちょっとした面白い表現が出て来るので、ますますこの作品が好きになるのだ。
【DATA】
山田詠美「夕餉」
文春文庫『風味絶佳』
KEN'S NIGHT M5レフィル<彩酒摩天楼>
KEN'S NIGHT 2nd Track2 Summertime