CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 196th トラッシュ

次に何かが手に入る。それを知っているために、てなづけることが出来るような暑さもある。暑いというひとつの言葉さえ、こんなにもさまざまな種類がある。それには色も付いているだろう。匂いも立てているだろう。甘い味も苦い味も、ひとつの言葉で言い表わすことが出来てしまうということだ。
山田詠美「トラッシュ」
『トラッシュ』より

昨日に続き、詠美の「夏の暑さ」に関する考察が続く。
暑さには色々な種類があるということなのだが、確かに同じ「暑い夏」であっても、その年の自分を取り巻く状況によって、その暑さに対する印象も変わって来るし、後々に想い返した時も、いろんな想いとともにその暑さというのは甦ることになるだろう。
それをこういう表現を使って文章化しているところが詠美の素晴らしさなのではないだろうか。
【DATA】
山田詠美「トラッシュ」
文春文庫『トラッシュ』
KEN'S NIGHT M5レフィル<花火摩天楼>
KEN'S NIGHT 3rd Track01 Blue Skies