CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 179th 間食

 食事がすむと、加代は西瓜を切った。彼女は食後に、いつも雄太の好きな果物を用意する。それは、季節の移り変わるのを感じさせ、彼は、子供の頃に想いを馳せる。夏休みの西瓜。庭に吐きだした種。プール帰りで体はだるい。まだ終わらないのかと疎ましく感じる長い休み。横になると、畳はひんやりと彼の体を受け入れる。途端に眠気はやってきて、心地よさに目を閉じる。安心する。全身が落ち着いていくのが解る。地球と畳の区別がつかなかった。
山田詠美「間食」
『風味絶佳』より

「間食」には、食べ物のシーンがたくさん登場する。そして、そのどれもが美味しそうだし、みずみずしい。
この西瓜のシーンもそう。
個人的な話ではあるが、ぼくが一番好きな果物は西瓜である。子どもの頃はメロンの方を好んだが、なんせ、離乳食のときからメロンを食べていたため、ちょっと飽きてきてしまい、ここ数年は断然西瓜が好き。夏になると西瓜を毎日のように食べるし、例えば西瓜柄の手ぬぐいをみかけると買わずにはいられないし、スイカアイテムも集めてしまうほど。
(つい最近はスイカ柄の指輪を買った)
そんな西瓜が登場するこのシーンは、なんだか懐かしい気持にさせてくれる。子どもの頃、そういうことあったなぁって。

【DATA】
山田詠美「間食」
文春文庫『風味絶佳』
KEN'S NIGHT M5レフィル<花火摩天楼>
KEN'S NIGHT 2nd Track 5 A Night in Tunisia ※ラメ入り