CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 144th NEWSPAPER

 しばらくの間の完璧な静寂の後で、彼が私の体を離した時、私も、ゆっくりと目を開けた。性愛の後、すべての動物は悲しいという言葉があるそうだが、彼の表情にもの悲しさは欠片もなかった。むしろ、新しい飢えがやって来るのを予感して、それまでの孤独をどうやって手なずけようかと思案しているように見えた。
山田詠美「NEWSPAPER」
『120%COOOL』より

山田詠美を恋愛の教科書として読んできたぼくにとっては、詠美の描く男女の恋愛模様は(脳内ではちゃっかり男同士の恋愛に変換していたけど)、憧れの世界でもあり、実践的に参考にはならないものの、できるだけそういう恋愛をしたいと思えるようなものだった。
そして、その詠美ならではの表現に舌を巻くのである。
上記のシーンもそう。
性愛の後の男の表情をこんな言葉で言い表わしているなんて、本当に驚きだ。
【DATA】
山田詠美「NEWSPAPER」
幻冬舎文庫『120%COOOL』
KEN'S NIGHT M5レフィル<夜景摩天楼>
KEN'S NIGHT 1st Bonus Track The First Time Ever I Saw Your Face