CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 80th    「A2Z」    

「今日何の日だか知ってる?」
成生の問いに私は首を傾げた。
「え? 春分の日でしょ?」
「そう。エキノックス」
 昼と夜の分量が同じ日。でも、それは一年に二回ある。次のエキノックスにも、私たち、同じことが出来るだろうか。もし、そうなったら、私たちがそれから迎えて行く季節は二度目になる。春夏秋冬のアニヴァーサリーを経験して行くのだ。喜べるのは何度まで? ピクニックだけでは、もういられない。
「A2Z」    『A2Z』より

今日は春分
だから、このシーンを選んだ。
そして、このシーンを含む前後のシーンがぼくは今でも好きで、「A2Z」の中で最も印象に残るシーンと思っている。
恋をすると、誰もがこの気持ちはいつまで続くだろうか?と不安になることがある。
それを「エキノックス」に重ね合わせて描いているところが詠美らしいと思う。

【DATA】    
山田詠美「A2Z」    
講談社文庫『A2Z』
KEN'S NIGHT M5レフィル<美酒摩天楼>
KEN'S NIGHT 1st Bonus Track The Rose ※ラメ入り