CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 79th    「A2Z」    

 食事、お酒、会話、セックス。私たちが二人でしていることは、それだけだ。でも、それ以上の何が一体必要だというのだろう。誰とでも出来ること。そして、あなたとしか感じられないこと。日常の営みが贈り物と感じられる今なら、あなたのために死ねる気がする。
「A2Z」    『A2Z』より

「A2Z」の中で印象的なのが、上記の夏美と成生のシーンである。美しくて、切ないふたりの関係がもっとも良く描かれているし、印象に残る。
夫である一浩とは紡ぐことのできない、夏美と成生だからこそ作ることのできる世界。それは不倫などという世間でいうところの陳腐な関係性とは無縁の世界だ。
詠美はその二人だけにしか作り得ない世界を美しい言葉で描いてくれた。
そこにぼくは感動したのである。

【DATA】    
山田詠美「A2Z」    
講談社文庫『A2Z』
KEN'S NIGHT M5レフィル<彩酒摩天楼>
KEN'S NIGHT 1st Track 08 Smoke Gets in Your Eyes ※ラメ入り