CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 66th 「4U」

そう、ギャップ。私は、いつだって、ひとりの男の内にあるギャップに魅かれて恋をして来た。外見を裏切らない内面を持った男なんて、後ろから読むミステリーよりもつまらない。男のギャップにはまるということは、性器を使わない性行為みたいなものだ。しかも、確実にエクスタシーはやって来る。それも、場所を選ばない。いやらしい。
「4U」『4U』より

短編集『4U』の表題作。
この作品は、源氏物語でいうところの「雨夜の品定め」だと思っている。
雨夜の品定めというのは、源氏物語の帚木の巻の中で、五月のある雨の夜に、光源氏や頭中将 たちが女性の品評をする場面だ。
この作品では立場が逆転し、女性たちが自分たちの周りの男たちの噂話をしている。
それがとてもリアルで面白く、そこがこの短編の魅力だと思っている。

【DATA】    
山田詠美「4U」
幻冬舎文庫『4U』
KEN'S NIGHT M5レフィル<赤色日本景>    
KEN'S NIGHT 2nd Track1 Misty