CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 32nd「成人向き毛布」

初めてベッドを共にした時から、私たちの体は、蜂蜜のような甘い糸をひき合っている。決して満足しないたれ流された快楽をひきずって生きている。

「成人向き毛布」より

山田詠美の魅力はなんといってもその表現だ。ぼくはそれを詠美節と勝手に呼んでいるのだが、その詠美節はどんな作品を読んでいても、しばしば登場し、そのたびにぼくは思わず線を引きたくなってしまう。
上記で取り上げた文章もそんな線を引きたくなるような一説だ。
「蜂蜜のような甘い糸を引き合っている」という表現を読んだその瞬間、ぼくにはその二人の関係が感覚として読み取ることができるのだ。そう、詠美の文章のすごいところは理屈じゃなくて、身体で理解できるところ。
それを言語化できるところに詠美の素晴らしさはあるのだとぼくは思う。

【DATA】
山田詠美「成人向き毛布」
幻冬舎文庫『ぼくはビート』
KEN'S NIGHT M5レフィル<方眼円盤集>
KEN'S NIGHT 2nd Bonus Track I Feel Pretty