CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

2023-09-22から1日間の記事一覧

Day 265th 熱帯安楽椅子

漁師が砂を踏む音は鉄道員が雪を踏む音に似ている。音の主が見えない。けれど、証拠としての足跡はひとつひとつ残されて行く。何故、私はこんな時に冷たい雪を思い出すのか。情事の後の砂は、時折、雪に似てはかない。銀色。冷たい。熱い。そして溶ける。山…