夢生の鼻先に漱太郎の指に挟まれた麻布があった。それは、白地に紺色の糸でイニシャルの刺繍が施されたものだった。S・S。母親によってかけられた手間が、こんなところにも行き届いている。そういう慈しみを惜しげもなく与えられて来た奴なんだ。そして、…
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